2023/2024シーズンが終了しました。ワクワクから始まり、まさ かこんなに苦しいシーズンになるとは思いませんでした。何度も何度も考えた引退。
今まで以上に自分に責任がかかる試合。 正直楽しいシーズンではなかったけれど、最高の結果で終わりました。
負けるはずがない。誰もがそう思っていた。
クリスマス休みが明け、2週目が始まる前、順位は1位をキープしていました。今シーズンは2位までが、ダイレクトで昇格、3,4,5位が昇格戦ができるので少し余裕はありました。
チームとしても、絶対に昇格はできるだろうと。
ですが2週目早々、1.2.3位を争っている2チームに敗北。為す術なく負けるというような内容の悪い試合が2試合続きました。
そしてもう絶対にどこにも負けられないプレッシャーが始まりました。
それでも下位のチームにはしっかりと勝ち、3位以内をキープ。 他2チームが下位のチームに負け始め、残り3試合を残し、1位に戻ることができました。
それでもまだ安心はできず、2試合は5位以内のチームと試合。 負けられない試合は続きました。
1週目で唯一負けたチームとの試合では、全員が「負けられない」という気持ちがでていて、ホーム戦でしっかりと勝ち切ることができました。この時点で、3位のチームが下位のチーム と引き分け、私達が次の試合勝てば、ダイレクトでの昇格が決定。
祝福モードの悲劇
この一週間は、試合をしていないのにもう全体が祝福モード。
相手チームは、7位のチーム。誰もが絶対に今週の土曜日に昇格が決定することができる。
そう思っていました。 負けるはずがない。しかもホーム戦。絶対に勝てる。チームも試合後のパーティーを用意していました。
結果は引き分け。
絶望でした。私自身も調子が悪く、チームを立て直すことがで きませんでした。
ありえない。信じられない。 全員がそう思っていたでしょう。
昇格をお祝いするために集まってくれていた人。チームが全てを準備してくれていました。 ごめんなさい。ごめんなさい。私は何度も謝りました。
チャンスは来週にまたあるけれど、ホームで昇格したかった。 最終戦は、去年私がプレーしていたチーム。ランサローテ島。 現段階で4位。 今より、確実に難しい試合になることは分かっていました。
もし負けても昇格戦があるから。そんな声も聞こえてきました。
引っ張って貰う立場から、引っ張っていく立場へ
試合に引き分け、昇格戦が次の試合結果によることが決まった時に、この試合に負けたら引退しようと決めました。
それくらい、引き分けになった試合結果に納得もいかず、自分 の不甲斐なさを感じました。
気分も落ち、頑張らなきゃいけないのは分かっているけど、なかなか前に進むことができなかった時、日本でプレーしていた 時のチームの監督、櫛田さん(現中部大学監督)に連絡をしまし た。
その時に、前回ヨーロピアンリーグの最終戦前に、スペインの レジェンドキーパー、シルビア・ナバローが言った言葉を思い 出させてくれました。
(参照) https://yhndbl.work/athlete/winner/
櫛田さんは、今度は私がその役目をする番だと。
やってみます!とは言ったものの、どう伝えたら良いのか、正直不安ではありました。集中したいけどできていない自分。自分がやらなくてはと思って、から回ってしまった自分。
ずっと悩んでいました。 そして、試合3日前のミーティングでそのチャンスがやってきました。
「1ついいですか?」と。
「8月から集まり、私たちはいろいろなものを犠牲にしてきた。遠くにいる家族、仲間、時間、家で待っている犬達。この メンバーでできるのは、あと1試合。私は昇格戦は考えていな い。来年のことは考えないで、今の仲間といられる3日間は、 ハンドボールだけのことを考えてほしい。たった3日間。誰も負けることは考えないで。ただ勝つことだけを考えて、あと1試合 戦おう。」
うまく伝わったかは分かりません。
だけど、それからチームメイトは、「8月から~」「犬のために~」って、楽しそうにしていました。
伝わったのかな?笑
自分にはできないと思っていました。
でも、少しは何かしらチームの為にできたかな。
顔つきが変わったチーム
ランサローテ島に移動する時、「もし勝ったら~」と話しを始める子がいました。
すかさず、もしって言うな。勝ちます。と訂正をしていました。あのヨーロピアンカップの決勝の時のよ うに、自分自身を高めていました。 試合会場に入り、アップが始まり、試合開始。
全員が集中をしていました。今までで1番集中しているように感じました。
1プレー1プレーに覇気を感じました。その中でも、最年長のゴールキーパーが、今まで以上の活躍をしました。彼女は今年引退を決めており、最後の試合になります。
試合前から、私は彼女が活躍するだろうなと、そんな信頼をしていました。
試合は、逆転はされてはいないものの、差をつけることができ ず、1点、2点差の戦いでした。
昇格
それでも私は1度も負けるとは思っていませんでした。最後のブザーがなり、勝利。1位での昇格が決まりました。
終わったんだ。夢のような感覚でした。
長い長いシーズン。苦しいことの方が多かった。
チームメイトもたくさんの子が苦しんでいました。
喜びの涙より、安心の涙が溢れていました。
今でも夢のようです。
4年前にスペインでの挑戦が始まり、日本では1度も優勝を味 わったことがなかった私を、2年前はヨーロッパチャンピオン にしてくれたロカサ・グラン・カナリア。
そして今年、昇格をかけたリーグ戦でチャンピオンにしてくれたモルベドレ。 まさか、スペインで2度も優勝を味わうことができるとは思ってもいませんでした。
そして今シーズンで引退する選手が私に送ってくれた言葉があります。この選手は去年引退を考えていましたが、あと1年頑張ってほしいという要望で引退を引き伸ばしていました。引き伸ばしたことで、たくさんの圧で苦しんでいました。 何度も暴言を吐かれていることも。そんな彼女が、「今シーズ ンまでやって良かった。あなたに出逢えたから。本当にありがとう」って。
何もできなかったんじゃないかなって思っていた私には、一生忘れられない言葉になりました。
2023/2024シーズン。 何度も言います。本当に苦しかったです。
それでも最高の結果で終えることができたのは、周りの方々の 応援のおかげでした。
支えてくれた仲間のおかげでした。 あなたは光だ。そう言ってくれる人がたくさんいました。
本当にありがとうございました。